強運の持ち主
強運の持ち主/瀬尾まいこ(著)
武田君大活躍。
〈あらすじ〉
元OLの売れっ子占い師、ルイーズ吉田は大忙し! ある日、物事の終末が見えるという大学生の武田君が現れる。ルイーズにもおわりの兆候が見えると言い出して…。表題作ほか3編を収録した連作短編集
ルイーズ吉田同様、俺も占いや運勢的なものはあまり信用していない。評価の良い部分だけ前向きに捉え、評価の悪い部分については「お前なんかに俺の何が分かる」と思ってしまう天邪鬼な性格だからです。
どんな人だって、弱いところはあるし、頑固なところもある。繊細だって言われれば喜ぶし、優しい人だと言われて悪い気はしない。そういう誰にでも当てはまりそうなことを、それらしく話しておけばいいのだ。いまいち腑に落ちないような顔をされたら、「あなたは気づいてないだけで」「本当の奥底に隠されたあなたはね」というような、前振りを付ければ納得してくれる。ほめてばかりでもうさんくさいから、時々強い口調で欠点を指摘しておく。それでばっちりだ。
本当にその通りだと思う。
しかしながら、占い師も人間なので、自分のことや自分の身近な人の運勢となると、急に冷静さを失ってしまうのは理解できる。近いものほど客観的に判断できなくなるのはよくあることですからね。それは、おそらく、占い師も相談する人もそれを信じない人もみんな一緒です。俺なんかは単純な性格なので、悩んでいる時やマイナス思考気味なっているときは、前向きになれる名言集で救われることが多いかな。結局は、何かを頼っているという意味では、占いも名言も大差はないのかも知れませんけどね。自分の置かれた状況に適切なコトバを自分で選び、最後に「ポンと肩を押して欲しい」だけだから。
作品自体は、相変わらず、読んでいて優しい気持ちになれるという、この作者の特色がそれなりに出ていると思う。陳腐な言葉を使うなら、癒し系小説といったところでしょうか。料理の描写とか恋人との距離感や、様々な出会いを通してゆっくりと成長していく人間の描き方に優しさが溢れているんですよね。そして、その中に強い存在感のある人物の織り交ぜ方が抜群に上手い。こんな先生の教え子達が凄く羨ましい。
俺もこの先生の生徒になりたかった。


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